一人1票

2013年04月01日

先週、次々と現行選挙制度に対して裁判所からNO!を突き付けられました。

現行制度をいつ改めるのか? 問われています。以下、渡辺代表のコメントを掲載いたします。

【衆院選違憲判決関係】

昨年の衆議院議員選挙の一票の格差をめぐる裁判の判決が全て出揃った。

14件全てが違憲判決であり、うち2件は選挙を無効とするという非常に厳しいものである。

国会議員としてはこれらの判決を重く受け止めるとともに、延々と続いてきた、一人一票ではないという民主主義の基本に反する制度を改めることに力を注がなければいけない。

なぜ、「違憲状態」が放置されてきたのかと言えば、小選挙区制度における一票の格差是正のための抜本的な見直しを行うという視点が欠如したまま、その場しのぎの小手先だけの制度改正を続けてきたことが最大の原因であろう。

党利党略に基づいた選挙制度改革では、一人一票という民主主義の基本を実現することはできない。

昨日、衆議院議員選挙区画定審議会から選挙区改定案が総理に勧告された。

これは昨年の衆議院議員選挙直前に公布されたいわゆる緊急是正法に基づくものである。

その名のとおり緊急避難的に制定された法律であり、それに基づいて今更区割の改定を行ったとしても、少しはマシになったとしても根本的な問題の解決にはならない。

完全なものはないとしても、どこに住んでいても一人一票ということが民主主義の基本であり、それを実現できる改定でなければならない。

本来は選挙前に行われなければならなかったことを選挙後にやるといいうのは、政府の問題意識の希薄さの現れにほかならない。

みんなの党は、かねてから一人一票が実現できる全国集計の比例代表制を導入すべきことを主張している。

この際、0増5減で弥縫策を施すのではなく、一人一票の抜本改革を行った上で、早期に衆議院の解散を行うべきである。

選挙制度は選ぶ方の国民から見て、分かりやすさが肝心である。

選ばれる方の都合を重視するとわかりにくくなる。

みんなの党案のように投票区割りはどうあれ、全国集計の比例代表制であれば、一票の格差はなくなり、大幅に定数削減が可能となる。

制度としても大変分かりやすい。

【みんなの党メールマガジン第139号 h25.3.29;渡辺喜美代表】

次に、同メールマガジンへの政策工房からの寄稿を掲載いたします。

【人口比例選挙への抜本改革をすべき】

1票の格差が最大2.43倍あった昨年12月の衆議院選挙の違憲・無効を求めるいわゆる「1人1票裁判」が異例の早さで進んだ。衆議院選挙の違憲のみならず、遂に戦後初めて無効の判決まで出た。これまで違憲判決が16件(うち無効2件)、違憲状態判決が2件となった。

こうした判決の中で、違憲か違憲状態か、あるいは選挙無効か否かはむろんのこと、裁判所が憲法上「人口比例選挙(※)」が求められている旨、明言するかどうかも注目された。

※ 選挙区の議員1人当たりの登録有権者数(主権者)の数が同数であること(投票価値の等価値)それが、違憲状態判決であり分かりにくいものの福岡高裁の判決をはじめ、「憲法上、人口比例に基づく選挙を原則」など「人口比例選挙」をうたう革命的な判決がいくつか出た。

昨年12月の衆議院選挙の小選挙区毎の有権者数の最大格差をみると、高知3区の20万4,196人に対し、千葉4区が49万5,212人であるから、人口差はなんと約29万人だ。1票の格差は2.425倍(高知3区の有権者の投票価値を1票とすると、千葉4区の有権者数は0.41票)である。これでは、人口比例選挙から大きく逸脱している。明らかな投票価値の「住所差別」が生じている。民主主義の危機といっても過言ではない。

1人1票裁判を進め、長年1人1票の実現に取り組んできた弁護士グループの升永英俊弁護士は、「アメリカ下院のペンシルバニア州では約60万人の選挙区が19ある。その選挙区の最大と最小の人口差はなんとたったの1人。しかも2002年に19人の人口差があった時に違憲判決が出て3週間以内に人口比例になおせと命令が下された。すると、議会は人口差1人の選挙区割りの法律を作り、瞬く間に発効させた」旨、語る。

日本ではなぜ、民主主義の「危機」克服(人口比例選挙)へ速やかに取り組めないのか。

昨日、衆院選挙区画定審議会が小選挙区定数をいわゆる0増5減とする区割り改定案をまとめたが、1票の格差が2.425倍から1.998倍に下がるだけ(1人0.4票から1人0.5票に押し上げるだけ)である。また、最高裁が廃止を求める1人別枠方式も形式な廃止にとどまり、実質的には温存された。そこには、せめて人口比例選挙、1人1票を徹底追求しようという姿勢がまるで伺えない。いわば、裁判所に怒られないぎりぎりのラインはどこかを探ったような小手先弥縫策案だ。とりあえず、格差を2倍未満に収めておけばよいというレベルの案では、アメリカとの民主主義の成熟度の格差が広がるだけだ。

早ければ、本年夏にも最高裁が1人1票裁判の判決を下す。最高裁が違憲とするか、無効とするか、人口比例選挙を明言するかを待つ悠長なことを言っている場合ではない。

国会は、最高裁の判決前に、1人1票を徹底追求した選挙制度(人口比例選挙)となる抜本改革をやり、意地を見せる時だ。