代表質問

2019年02月26日

平成31年2月26日(火) 会派を代表して任期最後の代表質問を行いました。(一括方式)以下に質問と知事答弁を記載いたします。(長文になりますがお目通しいただければ幸いです。)

北葛城郡区選出の清水です。

質問の前に少しお時間を頂き、喜ばしく思ったこと。 がっかりしたことを紹介させていただきます。

2月中旬に、東京オリンピック出場を目指している女子競泳選手が白血病を患い、自身のブログで告白したことを受けて、オリンピック担当大臣に感想を求めた時の発言の一部である「がっかり」を取り上げて、国会が一時空転状態になりました。発言内容のすべてを読めば発言趣旨が良く分かりますが、一部分に目を向けてしまうと違った内容になってしまう。情報の一部を信じ込む、「木を見て森を見ず」の怖さを感じた例でもあります。
行政が発表する資料も丁寧な注釈や表示を行わないと、見る人によっては違った解釈をされることもあり、裁判所に判断を仰ぐようなことにもなりかねません。
特に人命に関わる耐震対策などには注意が必要だと感じた次第です。

さて、私が常に利用しておりますJR王寺駅の利用者にとって大変喜ばしい発表がありました。

この3月16日のJR西日本のダイヤ改正により、おおさか東線新大阪~放出間が開業し、奈良~新大阪間の直通快速列車が運行されることとなりました。
平日の奈良発は、早朝6時台に2本と7時台の2本の合計4本、新大阪発奈良行きの直通快速列車は、夕方の17時~20時台に各1本の合計4本であり、奈良駅~新大阪駅の所用時間が最短53分で乗り換えをすることなく新大阪駅に行き、東京・博多方面の時間が短縮され、夕方には新大阪駅から奈良へ直接帰ることが出来るようになり、奈良、郡山、大和小泉、法隆寺、王寺各駅の利用者にとって大変便利になることです。
一方、新大阪駅まで時間的に便利になるということは、半面、観光客が早朝に奈良から退散されることも考えられ、夕方の直通便は新大阪から奈良に早く着くルートの一つとして観光客の利便性が上がることにもなります。 が、奈良についても夕方からでも出かけるところが無ければなりません。
また、併せて万葉まほろば・和歌山線に227系新型車両が秋までに56両を投入されるとのことで、車両の快適性が増すことも同時に発表されています。
現状、奈良盆地のJR大和路線、和歌山線、万葉まほろば線はループしており、ある意味奈良盆地環状線を形成してはいますが、単線であるため乗り継ぎなどに時間を要し、決して便利とは言えないダイヤの編成となっていると思われます。
奈良市内以外の県内各所でも宿泊施設を増やす取り組みが行われており、天理市内でホテル誘致計画があり、桜井市駅前では今年4月に開業予定、王寺町でも2020年春に開業するホテル建設が進んでいることから、鉄道利用者の利便性を高め、建設が続くホテルと連携した観光商品が開発されることにもなると予想されます。
近鉄とJRの連絡の向上なども奈良県として鉄道事業者に要望を行うことも必要ではないかと思っております。
鉄道利用による県内周遊観光と宿泊をもっと便利にし、県北部だけでなく県南部に足を運びやすい環境づくりが必要だと考えています。

次は、少し「がっかり」したことを紹介させていただきます。

今議会に提出されました平成31年度予算は骨格予算と言いながら、昨年度当初予算とほぼ同額の5千億円超であり、まあ、私のように非常に肉付きの良い骨格予算となっております。
また、問題となっております耐震対策や県単独事業の増加などを考慮されたのか分かりませんが、平成32年3月末日まで「知事等及び職員の給与の特例に関する条例」により特別職と幹部職員の給与を減額される議案を、御自身の任期を超えて継続して提案されています。
内容は、知事▲10%、副知事・教育庁▲5%、幹部職員▲3%~0.5%でありますが、提案説明においても減額を継続する理由について触れられませんでした。

奈良テレビをご覧の皆様もご承知だと思います。 我が党「日本維新の会の国会議員団」は、全員が手取りの20%相当となる月額約18万円余りを積み立てて、災害が発生した時の見舞金などに充てており、併せて、毎月100万円が支給されています「文書通信交通滞在費」のネット公開も行っています。
我々、日本維新の会県議会議員4名も、人事院勧告によって引き上げられた期末手当を受取らずに供託を続け、昨年7月に150万円を大阪府北部地震への災害義援金として大阪府に贈呈しました。
また、奈良県総支部に所属する市議会議員団は岡山県倉敷市に80万円、町議会議員団は枚方市へ10万円をそれぞれ災害義援金として届けております。
何故、「日本維新の会」の支持率が伸びないのか不思議でなりませんが、今後も『身を切る改革・実のある改革』を続けてまいります。

本来、私の順番ではありませんでしたが、突然、任期4年目の最後の代表質問をさせて頂くこととなりました。
過去の質問と一部重複する部分もあろうかと思いますが、その点はご容赦いただきたいと思います。
では、議長にお許しを頂きましたので、通告に基づき要望1件と質問5件を一括して知事に質問をさせて頂きます。

まず、1問目ですが、自転車利用促進施策の効果検証について、知事にお伺いします。
奈良県は、世界遺産をはじめとする豊かな観光資源に恵まれており、観光資源は県内一円に広く分布し、ゆったりとした空間を楽しむ歴史的まち並みが多く残されているため、国内外から数多くの観光客が訪れています。
平成22年12月に策定されました「奈良県自転車利用促進計画」では、自転車による広域的な周遊観光を促す環境づくりを推進することで、自転車ならではの新たな観光スタイルを創出し、県内における滞在型観光の拡大や来訪者の増加による地域活性化を図るとともに、県民の健康増進や環境に優しいまちづくり等の実現を図ることを目的として、安全・快適でわかりやすい自転車利用ネットワークを構築する「ハード施策」や、自転車を利用しやすい環境を創出する「ソフト施策」をあわせて実施することで観光と健康増進の環境づくりを進められています。
さらに、京都と和歌山をつなぐ京奈和自転車道に着手され、東京オリンピックが開催される2020年を目途に奈良県域の75kmを広域的な周遊観光と連携して地域活性化を図ることとされています。
さて、昨年4月に県警から発表されています「自転車事故発生状況」によりますと、平成25年から平成29年までの5年間における自転車事故発生件数は約4千件で、死者数は31人です。
そのうち60歳以上の方が26名亡くなっており、高齢者の方が死亡事故の中心になっていることがよく分かります。
今後は、インバウンドの増加に伴う事故の増加は否めないと考えます。
自転車の運行による損害賠償保険に関連して、昨年に佐藤議員が質問を行いましたところ、条例制定に向け、県の関係課、警察、教育委員会などによる検討会を既に開催されているようで、事故発生によるリスクの軽減ができる体制づくりを早急に進めて頂きたいと思います。
奈良県を縦断する京奈和自転車道の事業費総額は、概算で約20億円とのことであります。
そこで知事に伺います。
京奈和自転車道の整備について、事業の効果をどのように見込んでいるのか、また、併せて事業の効果検証の方法をどのようにするのかについても伺います。

次に、要望を1件行います。
公共施設の整備に伴う調査結果の保存・活用についてです。

様々な公共施設を整備する過程で実施される地質調査などの基礎的調査の成果物が、通常の文書として取り扱われており、文書保存規定に基づき一定期間が経過すれば、歴史的な価値が無い限り、恐らく多くの自治体で廃棄対象となっているのが現状です。
関西圏では1980年代より、土質工学会関西支部(現地盤工学会関西支部)に設置されました研究委員会を発端として、“関西陸域”と“大阪湾海域”の地盤情報データベースの構築と地盤研究の活動を始められ、「関西地盤情報活用協議会」と「大阪湾地盤情報の研究協議会」へと継承・発展され、その後、さらに「関西圏地盤情報の活用協議会」に統合されています。
現在は、「関西圏地盤情報データベース」に一体化され、大阪湾海域から関西圏陸域をつなぐ地盤情報データベースが誕生しています。
2005年からは組織体制のあり方を再考した結果、このデータベースを“関西圏の財産”と位置づけ、関西圏における地盤情報活用の更なる発展を担うために,「関西圏地盤情報ネットワーク(KG-NET)」という新たな組織体制に移行し,関西圏における地盤情報活用の最終形として活動の輪を広げられています。
しかしながら、2018年12月に発表されました関西地盤情報ネットワークに反映されています奈良県のボーリングデータ登録本数は僅か3,300本であります。
民間の建設工事に先立って行われる地質調査と各市町村の保有する地質・土質データを加えれば、もっと本数がある筈と考えて、同会発行の2018年「新関西地盤奈良盆地編」の内容を確認いたしましたところ、【この本です】関西地盤情報データベースから2,500本、関西地質調査業協会から630本、奈良県から2,400本、奈良市、木津川市、精華町、大和高田市、大和郡山市、天理市、橿原市、桜井市、田原本町、広陵町の10市町から8,040本、その他から4,190本の合計15,360本が提供されていると記載されております。
奈良県からの提供本数は9,600本と伺いましたので、これは各市町村の本数を含めた数字なのかもしれません。
また、平成30年4月27日付け国土交通省大臣官房技術調査課が、地盤情報を収集するデータベースの運営主体を(一般財団法人) 国土地盤情報センターに決定しており、技術の進化と共に保存方法や活用範囲が広がることを踏まえた対策を全県下に広げる必要があると考えています。
貴重なデータが失われる前に、再度、県下市町村に周知して、保存されているボーリング調査データを、只の公文書ではなく貴重な財産であるとの認識のもと、奈良県が収集して国土地盤情報センターへ提供すべきと考えますので、強く要望いたします。

2問目は、内陸型地震への対策について、知事にお伺い致します。

阪神淡路大震災発生後の1995年2月1日以降の気象庁の地震データベースを確認いたしますと、2月16日現在、震度4以上の地震は全国で1,899回発生しています。
その内訳は、震度4が1,566回、震度5弱が203回、震度5強が77回、震度6弱が35回、震度6強が13回、震度7以上が5回で、体で感じる震度2以上では、26,035回と表示されます。
実に、概ね3日に1回は体に感じる地震が全国の何処かで発生していることになります。
地震は、いつ・どこで発生するか分からないからこそ、不断の準備が必要であります。
平成27年9月には、既に大規模造成地マップが公表され、一定規模の開発による盛土の場所は、県ホームページから目で見て分かるようになっており、今後は液状化が発生する可能性のある場所を順次精査して公表するとのことであります。
そして、平成11年に広島豪雨災害が発生し、土砂災害325件、死者24名の被害が発生したことを契機に、危険な地域に人家(新興住宅地)が密集し情報通報や警戒避難体制が脆弱なため、従来の対策工事のほかにソフト対策を充実させようと制定されました土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)も概ね指定が完了すると伺っております。
皆さんも読まれたことと思いますが、平成31年2月17日付けの毎日新聞に奈良大学の時枝(ときえだ) 稜(りょう)さんが、スマートフォンやタブレット端末で全国各地のハザードマップを手軽に閲覧できるシステム「エス・オー・エヌ・アイ・シー」「SONIC」を製作し無料で公表しているという記事が載っていました。
このシステムの特徴は既存の地図ソフト上に土砂災害警戒区域や避難施設の位置を示したほか、河川氾濫時の浸水想定区域を水深別に5段階で色分けし、画面を動かせば全国各地の情報を一目で確認できるようにされています。
さらに、都市圏で見つかっている活断層の地図や南海トラフ巨大地震で予想される各地の最大震度を表示する地図も卒業研究の一環で作成をされたとのことで、2022年度からは高校で必須科目となる地理総合でも活用が見込まれています。
実際にソフトを確認いたしますと「奈良盆地東縁断層帯」奈良市内から天理市内の位置も良く分かります。
IT技術が日進月歩で進化を続けている一例だと思います。
県では、「奈良県地域防災活動推進条例」を平成26年に施行され「地域における防災力の向上を図ることで災害に強い地域社会を実現する。」とされています。
先ほど紹介をいたしました「新関西地盤 奈良盆地2018」編を読み進めていきますと、現状でも詳細に活断層帯などの位置が特定されておりますので、国土地盤情報センターにデータの集約が行われますと、更に詳細な地盤情報が出来上がると思われます。
そこで知事に伺います。
内陸型地震の被害を最小限にとどめる方策として、県として積極的なデータ収集を行い、活断層の位置を明示するとともに、注意喚起のための啓発を積極的に行うべきと考えます。知事のご所見をお伺いいたします。

3問目です。社会資本の老朽化に伴うデータベース化対策について、知事にお伺い致します。

主に、道路などの社会資本の老朽化対策及び老朽化に伴うデータベース化対策についてお尋ねをさせて頂きます。
県では、公共施設等総合管理計画を平成28年3月に策定し平成30年9月に改正が行われ、施設の耐用年数や重要度により類型ごとに整備方針が立てられています。
また、県が管理する道路・河川にはそれぞれ占用物があり、占用台帳により管理されていますが、占用物の現状把握と占用事業者による施設の更新が適切に行われているのかが大きな問題であると思っております。
各市町村にも河川・道路別に占用台帳と、直接管理を行われている上下水道台帳などがあり、今後は少子高齢化に伴い、県を含む地方自治体の職員数が減っていくことが予想され、当然、技術系の職員も減ることとなります。
人口減少に伴って、広域で技術系の業務を統合することも検討しなくてはならない時代も遠くは無いと思われます。
最近の事例ですが、1月23日午前4時頃、大阪府高槻市の高槻市水道部発注の水道管推進工事現場で、誤って地中2万ボルトの送電線を切断し、近くの大阪医大病院や百貨店など5施設が停電した事故がありました。
現場は府道と市道が輻輳しており、管理主体がどちらなのかとか、営業補償を求められるのかも含めて実態を調査中とのことで、工事は一時中止されていると伺いました。
中核市である高槻市発注の水道工事でさえ、このような事故が起き得るわけですから、情報をしっかりと管理しなくてはならないと感じた事例でもあります。
また、国土交通省が昨年の11月30日に「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」を公表されております。12分野で2023年には、今の1.2倍に当たる約6兆円となり、以降も増え続け2043年には約7.1兆円になると推測されています。
県も予防保全の考え方によるインフラメンテナンスを基本に維持管理を実行されていますが、管理対象物は増え続けるのに対し、人口減少に伴って職員数は適正配置を行わなければなりません。
自治体職員の減少にも耐えうる維持管理体制の構築を目指さなくてはならないため、市町村を含め経常的な経費となる維持管理に充てる予算にも限度がある中で、一層の合理的な方法を研究する必要があります。
一方、先ほど紹介いたしました時枝(ときえだ) 稜(りょう)さんの事例のように、IT技術の進化は目覚ましいものがあります。
そこで知事にお伺いします。
将来の人口減少時代を見据え、道路等の社会資本の老朽化対策を着実に行うとともに、占用物を含めた基本情報のデータベース化のためのプラットフォームをつくる必要があると考えております。
知事のご所見を伺います。

4問目です。(また訊くのか?と思われるかも知れませんが)関西広域連合の全部加入について、知事にお伺いします。

2018年11月23日に2025年の国際博覧会(大阪・関西万国博覧会)の開催地が大阪市に決まりました。会場となる夢洲には近鉄奈良線が直接乗入れる事にもなり、奈良県北部の産業発展と観光に大きな期待を寄せるものであります。
知事は、4年前の今頃に広域防災と広域観光・文化・スポーツ振興の2分野に唐突に加入することを表明されました。
井戸敏三関西広域連合長の挨拶の結びに、『関西は一つ、関西は一つ一つ、この理念のもと、それぞれの地域の多様性を生かしながら、「活力ある関西の創造」に関係府県市一体で取り組んでいきます。皆様のご支援ご協力をお願いします。』とされており、参加自治体に敬意を払いつつ一体となる必要性を表明されています。
奈良県の一番の弱みは、観光において滞在時間が少ないことと働く場所が少ないことであります。
2016年に「KANSAI ONE PASS」という交通IC系による利用状況調査が行われ、奈良県の観光客滞在時間は4.7時間で近畿圏最低であったことには大きなショックを受けました。(皆さんも一緒だと思います。)
関西広域連合の広域産業振興分野では、関西の持つ産業集積や技術、人材等のストックを活用し、公設試験研究機関の連携や合同プロモーション等に取り組むことにより、グローバル化に伴う地域間競争に打ち勝ち、関西全体の産業の活性化を目指すこととされており、積極的に奈良県も参加すべき分野であると考えます。
また、「地球環境問題に対応し、持続可能な社会を実現する関西」を目標に、様々な主体とともに関西全体で広域的な環境保全に取り組んでいくこととされ、広域環境保全においても奈良県からの環境負荷は少ないかもしれませんが参加すべきと考えます。
知事は、公的医療体制の見直しを行われ、奈良総合医療センター、南奈良総合医療センター、県立医大病院施設の充実などとともにドクターヘリの導入を行われ、救急医療体制の充実を図られました。
そこで知事に伺います。
ドクターヘリの共同運行は別として、関西が一丸となって2025年国際博覧会を成功させるためにも、改めて関西広域連合に全部加入を表明すべきと考えます。
知事のご所見をお伺いいたします。

5問目、最後に、「なら食と農の魅力創造国際大学校-NAFIC-」の経営方針について、知事に伺います。

「なら食と農の魅力創造国際大学校」(以降NAFICと言います。)は、平成31年度には、開校して4年目を迎えますが、フードクリエイティブ学科は定員割れが続いています。定員20名に対して平成28年度は15名、平成29年度は13名、平成30年度も13名、平成31年度は、今のところ11名です。
また、「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」の来客数は、平成28年度15,731人、平成29年度11,595人、平成30年度は12月末までで7,774人で、宿泊件数は、平成28年度1,382件(年間平均客室働率49.7%)、平成29年度1,349件(年間平均客室稼働率48.4%)、平成30年度12月末まで995件と年間宿泊件数に大きな変化はありませんが、冬季2月の宿泊客室稼働率は20%台で最も悪い状態です。
いずれにしても、ホテルの損益分岐点であります60%に達していないのは事実です。
NAFICは、元々、県立の農業大学校であり、それを引き継ぐアグリマネジメント学科は概ね募集定員を満足しているのに対して、新設されたフードクリエイティブ学科は定員割れが続いています。
・桜井駅から学校まで遠いこと。
・卒業しても調理師資格が無いこと。
・知名度が低いこと等が主原因と推測されますが、大きな税を投じて開校した新設校であり、教育訓練施設として県民が満足する結果を残さなくてはなりません。
そこで知事に伺います。
平成28年度の開校以来、NAFICのフードクリエイティブ学科の定員割れが続いていることを踏まえた今後のNAFIC経営方針についてお伺い致します。

以上で、壇上からの質問を終わらせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。

<知事答弁と各項目の再質問>

1 自転車利用促進施策の効果検証について(知事)
京奈和自転車道の整備について、事業の効果をどのように見込んでいるのか。また、事業の効果検証の方法についても伺いたい。

○知事:
京奈和自転車道は、京都嵐山から和歌山港に至る延長約180kmの自転車道の呼称で、京奈和自動車道をもじったものです。奈良県では県内約75kmの整備を進めております、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の概成を目指しております。
京奈和自転車道の整備により、国内外から来訪される方々に、奈良県の隅々まで楽しんでいただける移動手段を提供するという観光振興の観点だけでなく、健康増進、環境負荷の低減、災害時における交通機能の維持などの事業効果も見込んでおります。
現在の整備状況ですが、平成29年10月に大和郡山市内で約4.4kmの整備が完了しました。今年度、自転車交通量調査を実施したところ、整備前の約2倍の方が利用していることも確認されております。
今後、京奈和自転車道の全線が繋がることで、更に自転車利用者の行動範囲を広げ、府県をまたいで走行するツーリングなど周遊観光が促されることを期待しています。
また、事業効果の検証方法についてですが、自転車で琵琶湖を一周することで人気を博しているビワイチでは、先ほど申し上げました自転車交通量調査に加えまして、継続的にビワイチを完走した利用者数と経済波及効果を合わせて、事業効果として検証しておられると聞いております。
本県もこれらを参考にして、県内の主要箇所における自転車交通量調査を継続的に実施するとともに、周遊観光などに関する効果の検証方法について検討してまいります。
奈良盆地は自転車の利用に適しています。河川堤防も自転車利用に適していると思います。
利用促進とともに、効果検証にも傾注していきたいと思います。

○清水議員:
なぜ県警のデータを出したかと言いますと、京奈和自転車道ができることによって、今後、交差点などで事故の増加要因となるのではないかと考えたからです。
県警で把握されている場所がありますので参考にして頂いて、自転車道が整備できたことによって逆に減ったと言うことになれば、当然のことながら効果検証としてはいいので、そういう方向で検討を加えて頂きたいと要望しておきます。

2 公共施設の整備に伴う調査結果の保存・活用について(要望)

3 内陸型地震への対策について(知事)
内陸型地震の被害を最小限にとどめる方策として、県として積極的なデータ収集を行い、活断層の位置を明示するとともに、注意喚起のための啓発を積極的に行うべきと考えるが、知事の所見を伺いたい。

○知事:
本県の「地域防災活動推進条例」では、人命を守ることを最優先に、被害を最小限にとどめるため、県は市町村及び防災関係機関等と協力して、防災計画の実施や県民等による地域防災活動の推進を図るなど、県の責務を定めています。
平成30年7月豪雨による水害では、「自分だけは大丈夫」といった住民の思い込みや、緊迫感が伝わるような行政の情報伝達手法のあり方などが課題であることがわかってまいりました。従来から「奈良県は大丈夫」といった思いが強い地域という課題があります。
現在、これらの課題についての「県・市町村長サミット」での議論や、避難に関する県内市町村の先進的な取組をもとに「緊急防災大綱」を作成しております。
今後、市町村の意見も踏まえて、年度内を目処に取りまとめを行い、来年度に奈良県地域防災計画へ反映させる予定です。
一方、内陸型地震への対策としては、これまで、奈良盆地東縁断層帯など、県内及び周辺の8つの断層帯の位置、震度予想、被害規模などを、県のホームページやパンフレットなどで広く周知を図り、県民への注意喚起を行っています。しかしながら、活断層による直下型地震は、身近に感じられない傾向があります。
議員お述べのように、最新の知見によるデータの収集も重要であると考えております。
今後も、気象庁や国土地理院、国が新たに設立した「国土地盤情報センター」などが所有する地震に関するデータを積極的に収集し、県民の皆様にわかりやすく、かつ危機感も伝わるように工夫をして、周知啓発に取り組み、地震等への危機意識や、自分の命は自分で守る「自助」の意識の醸成に努めてまいりたいと考えています。
他の災害でも同じですが、いつどこで起こるかわからない地震への日頃の備えとして、自分の命をまず助ける、また他人の命も助けるということを備えの心構えとして、家具の固定や配置の見直しの呼びかけや、地震が起きたときに、落ち着いて身を守る行動ができるように「シェイクアウト訓練」への参加を促すなど、具体的な地震への備えや被害の低減につながる取り組みも進めてまいります。

○清水議員:
奈良県の一般住宅の耐震化率は、今現在何パーセントあるかご存じでしょうか。

○知事:
民間住宅、一般の方の住宅の耐震化は、とても気にしています。一般の方の住宅については、奈良県は大変古い住宅が多く、ずいぶん長く代々住んでいる住宅もあるので、心配しているところです。新しい住宅も耐震化が十分かどうかといった課題もあります。そのようなことについて、十分調査されたデータはまだ持ち合わせておりません。直下型地震が夜に発生すると大概家におられるので、余計に心配です。
どのような手法があるのかという前に、どれほど耐震化が遅れているか進んでいるかというデータもない状態ですが、先ほどのデータベースのご質問の趣旨にも適うので、収集する努力をしたいと思います。データベースのありかもまだわからない状態ですが、推測できるようなデータを探したいと思います。

○清水議員:
実は、総務省の「統計研究研修所」が専修大学のネットワーク情報学部の佐藤慶一先生と住宅の土地統計ミクロデータを用いた住宅耐震化率の推計というのを出しています。実際に家が建て替えられたというデータを含めて、更新されていく頻度等を比べて推計値を出されています。実態とは異なるかもしれませんが、この表を見ると、奈良県は残念ながら74%と読めます。非常に低いと思います。これが平成25年時点なので、現在はもう少し進んでいるかもしれません。ただ推計値として低いということだけははっきりわかるので、何らかの対策をもう少し積極的にしないといけないと思います。
内陸型地震の発生場所の特定というのは非常に至難の業です。ところが現状で分かっている断層帯の位置については推定ができているわけですから、危険度の判定からすると、やはりその既存の断層帯がわかっている場所は一番高いのではないかという気もいたします。
各市町村には固定資産税台帳があるので、固定資産税からも、例えばいつ建てられたのかなど、そういうことも含めて調査する基本的なデータは各市町村の方がお持ちかもしれません。それらも含めて、場所を特定し、より危険度が高い場所としてお知らせをすることによって被害を軽減することができると思います。
私自身地元の自主防災会にも参加し、色々な活動を通して啓発活動をやっています。人間には正常化バイアスが作動しますので、ほとんどの方が自分は絶対に大丈夫と思われています。いくら啓発をしても、実際に家の家具の固定をされたかどうか、なおかつガラスが飛ばないようにされたのかどうか、今地元での活動に取り組んでいるところです。何とかデータ収集を進めていただいて、一人でも被害にあう方を減らす、そういう対策をしていただきたいと思います。何かご意見がございましたらご答弁いただきたいと思います。

○知事:
ちょっと違う観点かもしれませんが、地震保険の加入というのも一つかと思います。また、家が倒れないようにする、倒れても命が助かるようにする。これは工夫次第でかなり違ってくる面があります。
直下型地震の阪神淡路大震災でも命をずいぶん落とされましたが、実際に全壊のところでも助かった方もいらっしゃいました。全壊でも助かるとはどういうことかという研究も必要かと思います。命は色んな工夫、ちょっとしたことで助かるので、そのような研究は進めてきました。シェイクアウト訓練等はその一環です。倒れないということも大事ですが、倒れても助かる、両方の努力が必要かと思います。
防災力というと倒れないようにする、ハード面が中心になる傾向がありますが、実際に災害が起こった地域において、家族あるいは地域で気持ちの結びつきをもっておられることがよく分かっております。
奈良県もインフラの強靱化とともに、備えの強靱化を心がけていきたいと思っております。

○清水議員:
今でも県が補助をしている、レスキュールーム(耐震シェルター)があります。各市町村も部分的に助かるという取り組みをされていますので、もうちょっと広めるように、是非とも努力をしていただきたいと思います。
4 社会資本の老朽化に伴うデータベース化対策について(知事)
将来の人口減少時代を見据え、道路等の社会資本の老朽化対策を着実に行うとともに、占用物も含めた基本情報のデータベース化のためのプラットフォームをつくる必要があると考えるが、知事の所見を伺いたい。

○知事:
社会資本の老朽化が進む中で、データベース化は大変重要な課題であると思います。更新時に事業をする際にも、社会資本のデータベースのあり方について、データベースの更新・維持は極めて重要であると思っています。
この様な社会インフラのデータベース化について、道路については全道路管理者において位置情報等の諸元に加え、点検や措置等の結果をとりまとめ、「見える化」を図ることとしており、施設台帳のデータベースを整備しているところです。
さらに、道路の地下には、水道、下水道、通信、電力、ガスなど多種多様の物件が輻輳して見えないところに収容されており、県ではこれら占用物についてもデータベース化して占用台帳で管理しています。
また、これらの占用物については、国や他府県の状況を調査し、共有化の状況等について情報収集し、データベース化の検討に向けた準備を進めていきたいと考えております。
道路の維持管理については、老朽化対策の取り組みとして、平成26年7月に道路法施行規則が一部改正され、橋梁、トンネル、道路附属物等については、5年に1回の頻度での近接目視による点検等が義務化されました。また必要な措置を講じることとされ、県においても、今年度内に点検を終える予定です。
さらに老朽化対策として、新たに点検を求められている舗装・道路土工構造物等への対応も必要な状況であり、例えば舗装であれば、特に交通量が多く損傷の進行が早い道路を優先し、先ほどの占用情報や、関連調査結果も合わせて「選択と集中」の考えに基づき、データベース化も含め、進めていく方策を検討していきます。
新たらしい整備だけでなく、老朽化対策や県有資産の耐震構造も同じですが、優先度・「選択と集中」の考え方を適用すべきかと思います。
奈良県のインフラ整備は、全体として遅れてきていますが、リニューアル・更新の必要性も始まっており、効率的に行っていく分野ではありますが、市町村が持っている生活インフラである、上水道・ゴミ処理・下水道などは、奈良県が積極的に関与して、市町村と協働した効率的な整備が「奈良モデル」として進んでいます。
県の持っているインフラにつきましても、効率的な方策を試行し工夫を重ねたりしたいと思います。その際には、データベースは基本的な重要な資料であると認識しています。

5 関西広域連合への全部加入について(知事)
関西が一丸となって「大阪・関西万博」を成功させるためにも、関西広域連合に全部加入すべきと考えるがどうか。

○知事:
議員は、「関西が一丸となり『大阪・関西万博』を成功させるため、関西広域連合に全部加入すべき」というお考えであろうかと思います。3年前に関西広域連合に部分加入した際に、本県にとって負担に見合う連携・協働の十分な効果が見込める分野には加入し、逆にその効果が見込めない分野には加入しないことといたしました。今も、同じ考え方です。
また、関西広域連合は本質的な課題も抱えております。関西広域連合の会議でも申し上げているところですが、1つは、地方自治は、現場が近くにあることによって創意工夫のヒントが得られますが、広域連合は、地方自治の現場から離れようとしていくものです。地方自治の方向と逆行している面がございます。
もう1つは、憲法上の地方公共団体は、首長や議員を直接選挙するものと定められております。憲法上の規定でございます。関西広域連合では、直接選挙を行っておらず、政治的な代表性・正当性に課題がございます。したがって、広域連合の基本は、構成団体からの業務の持ち寄りであるとされています。相互連携が、本質的な組織構成の精神です。
これらのことから、全部加入には抵抗があるところです。
現在、「広域防災」、「広域観光・文化・スポーツ振興」の2分野に参加し、これらの分野においては、効果的な被災地支援や、オーストラリアから関西国際空港への新たな直行便の就航など、成果を上げておられます。
しかし、「広域産業」分野については、都市部と本県では実情が異なります。広域行政で達成できる分野かどうか、まだ検証されておりません。「県内における働く場の確保」といった本県特有の課題が、大都市行政に埋没するおそれがあります。
私は、大都市に集中投資をして、その果実の分配を受ける従来型の経済政策、トリクルダウンと呼ばれてきた経済政策ではなく、それぞれの地方が経済発展に取り組む「分散型産業振興」が、これからの主流であると考えています。地域が元気になることによって、全体が元気になるという考え方でございます。
本県経済の温度を測る指標として、就業地別有効求人倍率を見てみますと、奈良県としては、過去最高水準を続け、近畿でもトップになっています。企業誘致についても、就任して以来、平成30年の上半期までに、317件の企業誘致を実現する成果を上げてきております。これらの成果は、奈良県の皆様のご理解とご協力を得て達成したもので、広域連合の諸賢の助けを借りたものではございません。
また、「広域環境保全」分野については、既に大和川の水質改善など県域を超える広域的な課題には、国、関係する自治体等が事業実施段階で連携・協働して取り組んでいるところです。
「大阪・関西万博」の成功に向けて、積極的に協力をしていきたいと考えております。一方、関西広域連合については、これまでどおり、全部加入ではなく、本県にとって負担に見合う連携・協働の十分な成果が見込まれる分野に限って加入することが適当だと思っております。

○清水議員:
関西広域連合について、知事から、憲法の趣旨に反するという答弁を頂きました。現状でも、2分野に参加されているわけですから、参加された時も、2分野に参加している時点で、憲法に反しているという思いで参加されたのかと疑問を抱きつつ、先ほどの答弁を聞かせていただきました。

○知事:
現在の関西広域連合が、憲法に違反していると言っているわけではございません。「全体的・総括的な広域連合になって、税金も取れ」という意見が、連合の中にある。税金を取るということになれば、やはり代表性がないと、直接選挙がないと、税金を取ることにはならないと思っております。「納税の正当性を主張されるなら、憲法上の問題が発生する」という言い方をしております。

6 NAFIC(なら食と農の魅力創造国際大学校)の経営方針について(知事)
平成28年度の開校以来、フードクリエイティブ学科の定員割れが続いていることを踏まえ、今後の経営方針について伺いたい。

○知事:
本県の食に対するイメージは、残念ながら「奈良にうまいものなし」との言葉が象徴するように、経済センサス2014のデータによると、10万人当たりの飲食店数は326件で全国最下位となっています。また、民間調査ではありますが、「食事がおいしいご当地ランキング」でも全国45位、奈良への観光客が持つイメージで「美味しい料理がある」と感じる人は、わずか2%とのアンケート結果です。
しかしながら、本県にも様々な美味しい食の素材があり、また美味しい場所もあることは皆さんご存知のとおりでございます。奈良県の農産物等の良さを理解し、それを活かした料理を提供する人材を併せて育成することが、本県の「食」に対するイメージを高め、実質的な観光地として名を馳せるために最も効果的な方策と考えてきました。農と食を結びつけるというNAFICの考え方は、わが国では先駆的な取組として高く評価されています。外国では、農と食を結びつけるのは、当然のこととして行われてきた経緯があります。
このため、平成28年4月に、新たにフードクリエイティブ学科を設け、調理技術に加え、サービスやマネジメントまで実践的に学ぶ場としてNAFICを開校いたしました。昨年3月に卒業したフードクリエイティブ学科の第1期生15名は、全員が希望の進路に進み、うち9名は県内の飲食業界で活躍を始めています。
NAFICは、単に学校経営のみの視点ではなく、「食」と「農」を担う人材の育成と、食や農を通じた地域の振興という目的を掲げて設置した施設です。奈良の食の提供に対する見方が飛躍的に向上していることからも、効果があったと思っています。
人材養成を通じた産業振興には、長期的な取組が必要であるということにご理解をいただければと思います。とは言うものの、フードクリエイティブ学科は3年連続で定員を満たしておらず、NAFICの魅力もまだまだ十分には伝わっていないと考えています。
このため、学生募集について、今年度は8月末から行っていましたが、入試制度を見直し、来年度は前倒しして6月から行います。
また、社会貢献を通じてNAFICの活動を広く一般に周知できるよう、学生が県内イベントに参加する機会を増やすとともに、子ども食堂などを支援する取組を進めます。
加えて、卒業後の海外研修などによるさらなるスキルアップへの支援の外、開業や就業に向けたフォローアップの充実を図ります。
最近では、スペインのバスク地方にあるBCCという大変高度な調理学校から、NAFICと連携したいという申込がありました。来年度には検討して、前向きに考えたいと思っております。世界的に有名な料理学校で、規模も300人を超える学生がおられます。そのような学校から連携の申込があるということは、ステータスになると思います。
これらの取組により、奈良の食に対するイメージを払拭できる人材育成に努め、食を通じて「訪れて良し」の奈良県づくりに努めてまいります。
オリンピックやラグビー、大阪万博に来られる方に、仏像だけでなく、美味しいものを食べて、ついでに仏像も見て帰られるということも、不可能ではないと考えています。

○清水議員:
これから先の経営をどうしていくのか、民間の施設ではなく公的な施設なので、必ず税の投資に見合ったものを、長期計画でも良いと思うので、是非とも研究していただきたい。
予算委員会にも入らせていただくので、今回質問できなかったことは、委員会でも質問させていただきたい。

○知事:
NAFICについては、今後について、また検討を進めたいと思います。

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