代表質問の内容と答弁

2020年06月24日

令和2年6月24日(水)午後2時~ 日本維新の会奈良県議団を代表して代表質問を行いました。(4番目の質問で掲示しました資料;R2.6.24 代表質問掲示資料-1 (R2.6.19)R2.6.24 代表質問掲示資料-2(R2.6.19)

質問は一括方式で行いましたが、ホームページでは答弁内容を判りやすくするために、各質問項目の後に理事者答弁を記載しています。

大阪では、私の2周り年下の吉村洋文大阪府知事が頑張っております同じ日本維新の会の清水です。
質問の前に、今回の新型コロナ感染症でお亡くなりになりました2名の方のご冥福をお祈りいたしますとともにご家族にお悔やみを申し上げます。
そして、新型コロナウィルス感染症に対して命を懸けて闘っていただきました医師、看護師を始め、医療従事者の皆様、介護現場の皆様に心より敬意を表しますとともに感謝を申し上げます。

では、議長のお許しを頂きましたので、日本維新の会県議団を代表して「備え」の重要性について質問をさせて頂きます。

今年の1月末以降は、いつもの年とはまるで違う年の幕開けとなりました。
令和2年1月8日から11日と12日から16日の2回、奈良県で中国武漢のバスツアー客を乗せたバスの運転手が、新型コロナウィルスに感染発症したことが1月28日に判明しました。
そして、1月 20日に横浜港を出港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が1月25日に香港に寄港、那覇港を経由して 2月3日に横浜港沖に到着しました。
1月25日に 香港で下船した乗客が30日に発熱し、2月1日に新型コロナウィルスに感染していることを2月2日に国際保健規則のIHR通報により把握し、2月3日午後に那覇検疫所より仮検疫済証の失効を船長に対して通告がなされ、同船は、2月3日に横浜港に到着しましたが、乗員乗客を含めて3711名が船内に隔離されるという国内で初めての経験をしました。
同3日20時40分 には、同船に対し横浜検疫所が臨船検疫を開始し、2月4日の晩にPCR検査の結果により陽性の乗客・乗員の存在が判明しました 。
この時点でのWHOの会見では、『中国武漢が発生源と思われるが「パンデミック」にならないと思われるので、冷静な対応を各国で行われたい。』との趣旨を表明したことで、国も奈良県も初動に対して、新型コロナウィルス感染症の正確な情報が得られずに明確な判断ができない時期であったと思っております。
令和2年6月12日の第12回奈良県新型コロナウィルス感染症対策本部会議において、荒井知事は、「初期情報が少なかったことや、患者発生数が少なかったことから、当初は少し危機感が希薄であったかもしれない。」と反省をされております。
実際、WHOが『パンデミック宣言』を行ったのは、日本で最初に感染者が判明した1月末から1月以上が経過した3月11日であり、全く遅きに失した感があります。
このことから、正確な情報把握と適切な判断が如何に大切か! 普段の訓練と危機管理が如何に大切か!を改めて考えさせられました。
平成27年9月第321回定例会で、会派の佐藤光紀議員が初めての一般質問で平成26年の夏に千代田公園で発生したデング熱を例に奈良県の感染症対策について質問をしています。
覚えておられるでしょうが、その一部を抜粋して紹介をさせていただきます。
佐藤光紀議員は、感染症の特徴としては、感染から発症までに潜伏期間があり、関西を観光中に、いつ、どこで、誰が発症するのかを予見することはできないので、県としても、感染症患者の発生を想定した搬送訓練をされておられますが、それに加えて、新型インフルエンザなど直近に発生し得る感染症を想定し、県境を越えた広域的な訓練も同時に検討すべきだと考えること。
そして、奈良県における感染症対策医療機関の現状は、一類、二類感染症患者の受け入れ施設は奈良県立医科大学と済生会中和病院の二病院に限られ、病床数も十三床のみで心もとないのではないか? との質問でした。現在は、奈良県総合医療センターを含めて6施設となっています。
これに対して、
荒井知事は、「県にとって、感染症対策は県民の命と健康を守る上で極めて重要であると認識している。」、「医療提供体制の強化の面では、奈良県立医科大学などの医療機関と連携して、感染症に対応するための合同訓練や、最新情報に基づく研修会を実施し、他府県とともに広域で取り組むことも重要であると認識をし、平時から他府県の研修会へ相互参画するなど、積極的に情報共有にこれまでも努めている。今後、関西広域連合の広域防災分野の構成団体として、より連携を密にするとともに、感染症指定医療機関や自治体への支援、普及啓発の強化など、これまでやっておりました内容等の実施と国への提言をしっかりと重ねてまいりたいと思います。」と答弁されています。
今回の新型コロナウィルス感染拡大を通じて、様々な課題が浮き彫りになりました。外出の抑制などの感染防止対策は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて行われることとなっていますが、日本では、諸外国のような迅速で強力な対策が用意されているわけではありません。
また、感染防止対策や生活支援策の実行を技術的な面から支える在宅ワークや自治体サービスのICT化のための基盤の脆弱さも明らかになりました。そこで、このことについて、数点質問いたします。

1点目は、緊急事態宣言発令時の休業要請のあり方について知事のお考えをお伺いします。
特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令された場合、外出自粛要請、休業要請・指示をする権限は都道府県知事が行使することとなっています。
今回の新型コロナウルス感染症の拡大にあたって、都道府県知事の責任の大きさが明確になりました。
新型コロナウィルス感染症の全国的な拡大に伴い、緊急事態宣言が全国に発令されましたが、休業要請に関しましては、政府が欧州など一部の国で行われているような損失に対する補償を認めないという見解を示したことから、都道府県の対応策も都道府県ごとに決められた一律の協力金の給付に留まることになり、要請により休業される県内の店舗等にとっても誠に不充分な水準であったと考えます。
緊急事態宣言が発令された場合における休業要請のあり方と、休業に伴う損失に対しての対応策について、今般の緊急事態宣言における対応状況を踏まえ、政府への提言などどのように考えておられるのか伺います。
【知事答弁】
現在のところ、コロナに対する薬もワクチンも無いので、「うつさない対策」として、早期発見・早期隔離があり、早くから奈良県としてもそのことは認識していました。また、「うつらない対策」として外出自粛がありますが、外国のように強制力を伴うものではなく、我が国では要請という形となりました。
大型連休の前にそのような動きがありましたが、不要不急の外出の自粛を奈良県でも要請しました。近所に「特定警戒都道府県」とされていた大阪府・兵庫県・京都府があるので、往来の抑制をする目的です。
4月21日の「奈良県新型コロナウィルス感染症対策本部会議」において、既に行っていた県民への外出自粛要請と併せ、4月23日より、事業者の方への休業要請を決定しました。これは、県内の感染者数の増加や、他府県、とりわけ大阪から奈良県の遊興施設への来場を懸念する県民の声などを踏まえ、判断したものです。
その後いろいろ分析し、奈良県の感染者の約半分が大阪関連であることがわかりました。90例のうち半分が、勤務地の大阪で感染した人、そのご家族の感染、また大阪での飲食で感染した人です。また、大阪で波が発生してから3日から5日後に、奈良で波が起こっているということがわかってきました。 → 大阪の動向を注視すべきことがわかってきました。
第一波のいろいろな教訓は大きなものであり、それを踏まえて第二波に備えたいと思います。
休業要請のあり方、また損失に対する補償をどうするかはその頃からも議論をされていました。国においては、当初、補償は認めないとの言い方でしたが、一部の、財政に余裕のある都道府県が補償することになりました。
本県でも、近隣府県の対応を考慮しながら、休業要請に全面的にご協力いただいた事業者に対して、個人事業主10万円、法人20万円の、補償ではない協力金という形で給付することにいたしました。
先ほど申し上げた休業要請は、大阪の方が奈良に来てうつさないように、というような県民の声を受けたことが動機でした。
また、この緊急事態宣言を受けて都道府県知事が休業要請を行うということになっていますが、その補償金の程度はそれぞれの都道府県によって差が出る結果になりました。
これを、これからどのように考えるか。また、市町村の補償についても、するところとしないところが出てきています。これをどのようにするのか。まだ議論が残っていると私は思っています。
私見ですが、事業者の所在する都道府県ごと、あるいは市町村ごとに差が出ることは、突き詰めるとあまり合理的ではないなという感じもします。同じように休業要請をして収入が減るということで、補填ではないが、協力金を払うことであれば、何か根拠のある制度設計をする必要がありますし、そもそも緊急事態宣言に、都道府県知事に休業要請を行わせるということも入っていたと思うので、国のほうで制度設計をしたうえで、十分な財源を措置していただくのが合理的であると今でも思っているところです。
第一波はいろんな事情で世界の各国、また日本の各地方とも経験したことがないことが多かったわけですが、奈良県の第二波に備えるという観点からは、先ほども申し上げましたが、第一波のパターンの学習から判断する、というのが大きな要素だと思います。
大阪の関連が半分以上であるので、大阪でうつらないというのはなかなか難しいことです。往来自粛があっても奈良県の人は3割が大阪に勤務しておられるので、往来自粛と言っても、奈良県はそのまま文字どおり受け取れないということを知事会で発言もしました。大阪であろうと県内であろうと、勤務先でうつるリスクはある程度あるが、そこから家族にうつさないこと、あるいは大阪から来て奈良にうつすことがないように。奈良県内の域内感染を防止するというのが我々奈良県の行政・政治の立場ではいちばん大事なことだと思います。
大阪府知事には、奈良に行ってうつさないように、という言葉で呼びかけていただきました。そのような連携はありますが、第二波にどのように備えるか、検討・勉強する余地が残っていると思います。
【議員ご意見】
新型インフルエンザ特措法に伴う今後の実効性のある手法ですが、ぜひとも近隣他府県と協力をしていただき、情報の共有を進めていただき、このまま奈良県内で感染者が出ないということに努めていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

2点目は、新型コロナウィルス感染症を契機とした奈良県におけるテレワークの推進についてです。

平成28年6月の定例会の私の質問で、2009年春の新型インフルエンザ発生時にWHOがパンデミックを宣言したため、厚生労働省から通知された業務継続計画(BCP)の見直しによって在宅勤務要件を廃止されたことから、佐賀県庁では全職員がテレワークを行える体制になっており、業務の多様性が広がり、
・ 現場管理業務の多い土木職員や農業関係職員はモバイル端末を利用してのサテライト勤務など、情報の共有化が図れることになっていること。
・ 大雪による交通障害発生時の通勤不能時の通常業務への早期復旧にも役立っていること。
・ 業務のペーパーレス化にもつながっていること。
を例に挙げ、大規模災害発災時においては、通信回線などの早期の回復は望めないかもしれないですが、テレワークを導入するメリットは数多くあり、行政事務においても平時からテレワーク導入が望ましいと考えて、当時の奈良県のテレワークに対する取り組みと今後の方針について問いました。
当時の総務部長答弁は、「県職員の多様な働き方の選択肢を広げるという視点でテレワークの研究を重ねてまいります。」とのことで、モバイル端末の導入やサテライトオフィスの整備に取り組んでいただきました。
今回のモバイルワークは、主にそれらのモバイル端末と2か所のサテライトオフィスで実施されたのだと思います。
しかしながら、国の統計調査によりますと、IT関連施設や機器整備の推進は教育現場を含めて後進県であることは否めません。
今回の新型コロナウィルス感染症の影響で、県庁もテレワークの必要に駆られましたが、対象となる職員に対して十分に対応ができたのか?疑問が残るところです。
そこで総務部長に伺います。
新型コロナウィルス感染症の拡大を防止するために、県としてテレワークにどのように取り組まれたのか、お答え下さい。
また、今後、働き方改革の観点からも、在宅勤務の推進や必要な機器の整備など、テレワークを一層推進する必要があると考えますがいかがでしょうか。
【山下総務部長答弁】
本県のテレワークについては、従来から、モバイルワーク用端末100台の導入や2カ所のサテライトオフィスの整備により、取組を進めてまいりました。
今般、新型コロナウィルス感染症の拡大を防止する観点から、在宅勤務の仕組みを整備し、その対象職員を、罹患疑いのある職員、学校の休校等により子どもの世話が必要な職員、特別措置法に基づく外出自粛要請が出された地域に住む職員へと拡大してまいりました。
併せて、4月に本県にも緊急事態宣言が出された後は、在宅勤務を積極的に推進するため、モバイルワーク用端末の利用に限定していた在宅勤務要件を見直し、職場の端末の持ち帰りも認める等の改正を行いました。
また、オンライン会議システムを利用して、4月以降、庁内の各部署と外部の関係団体との間で150回以上のオンライン会議を開催しています。現在も、感染予防対策としてオンライン会議の需要が増加している状況を踏まえ、6月補正予算案において、オンライン会議の拡大に対応できるよう、環境整備に要する経費を計上しています。これにより、職員の移動時間や会議準備に係る業務負荷を軽減し、平時における業務効率化も図りたいと考えています。
今後も、働き方改革を推進する観点から、職員の生活状況に応じた多様な働き方の選択肢を広げる取組の一つとして、在宅勤務を含むテレワークを推進していく必要があると考えています。
そのため、今般のコロナ対応に係る取組を通じて明らかになった課題等の検証・分析を進め、他府県の事例等も参考にしながら、県民に寄り添う行政サービスとテレワークとがより良く両立できるよう、具体的に検討を進めてまいりたいと考えています。

3点目は、マイナンバーカードの普及拡大について伺います。

私は、平成30年2月定例会でマイナンバーカードに関連して、介護ボランティアポイント制度を県下で拡大、深化すべきであると質問させていただきました。
その際、知事からは先行事例に関する情報やノウハウの共有、市町村の主体的な取り組みを促す県の支援について検討したいと答弁をいただきました。
その後、2年以上経過した今もマイナンバーカードについては、国民の間で様々な意見があり、本格的な活用に至っていないのが現状であり、マイナンバーカードの全国平均の交付率は、令和2年5月1日時点で16.4%に過ぎません。
今回、国ではコロナウィルス感染症対策の一環として行われました国民1人10万円の特別定額給付金について、より早く国民の手元に届くように、オンライン申請が行えるようになっていましたが、皆様もよく御存知のとおり、オンライン申請のシステム上の不具合が原因で交付を行う市町村の事務に大きな負荷がかかるとともに、国民への給付が大幅に遅れてしまいました。
また、このオンライン申請は、マイナンバーカード取得者に限定されており、ほとんどの人はオンライン申請ができない状況でした。
私は、マイナンバーカードが普及しない原因の一つには、「制度導入によって、国や自治体からプライバシーの侵害を受ける」、「個人情報の漏洩が危惧される」など、一部マスコミや一部政党の誤った情報操作が行われて普及しなかったと思っています。
また、もう一つの原因は、新しい取り組みに対する国民の恐怖感と政治全体の信用度が低いことにあると思います。
政治への信頼が低い。これは大きな反省点であります。
マイナンバーカードは特別定額給付金のような給付事務の迅速化、簡素化や自治体ポイントの普及等に大いに活用できると考えています。
今般、令和3年3月からマイナンバーカードに健康保険証の機能が付与されるなど利便性も向上されることから、県として普及拡大に更に力を入れて取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。総務部長に伺います。
【山下総務部長答弁】
マイナンバーカードは、行政手続きの簡素化や本人確認を容易にすることで、住民の負担を軽減し、利便性の向上を図ることを目的として、平成28年に導入され、全国的にその普及拡大の取組が推進されております。
しかしながら、全国のカード取得率は16.4%、本県は全国第4位の19.2%ですが、まだまだ高い取得率と言えないのが現状でございます。
カード普及の最前線であります市町村の取得率には差がありまして、取得率の高いところは、普及に向けた取組を積極的に展開されております。例えば、カード取得率30.1%で全国の市の,中で取得率第2位の橿原市では、住民票等の交付をコンビニで受けるよう市民に対してダイレクトメールを送付されています。また、カード取得率26.5%で第8位の生駒市では住民票等のコンビニ交付手数料を安価にされており、これらの取組は普及拡大につながる好事例と言うことができます。
県としては、昨年度の県・市町村長サミットにおいて各市町村のカード取得率を一覧表にしてお示しするなど普及を促進してまいりましたが、今後は、このような好事例の共有の場として、サミットを活用したいと考えております。
なお、県組織内の取組として、本年1月、県職員を対象に、10市と連携し、本庁舎内でカードの交付申請を受け付ける取組を実施いたしました。その効果もあり、令和元年6月末の県職員及びその家族の取得者数961人、取得率13.8%から、昨年度末には1,859人、27.9%と倍増いたしまして、一定の成果を収めることができました。このような取組は、引き続き実施したいと考えております。
県民の皆様には、マイナンバーカードの意義・メリットを十分御理解いただき、カードを取得して頂けるよう、市町村と連携して取り組んで参ります。
【議員ご要望】
マイナンバーカードについては、9月からカードを利用したマイナポイント事業が始まります。来年3月末までの短期間の事業で、キャッシュレス決済の25%還元、5000円を上限にポイントが付与されますが、早く普及しないとこれに乗り遅れてしまうため、是非、市町村とともに、重なる普及に努めて頂きたい。

4問目は、人口集中地区を対象とした洪水対策についてです。

現在の治水計画や施設設計、危機管理には将来における気候変動を考慮されていませんが、平成30年7月豪雨災害の経験から、今後、気候変動による豪雨の更なる頻発化・激甚化がほぼ確実視され、被害の拡大が懸念される中、気候変動に適応した治水計画へ転換することは待ったなしの状態であることから、「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」が、治水対策はこれまでの流れの中で大きな転換点に立っており、過去の観測データのみを活用する治水計画から将来の予測を活用する治水計画 へ転換する大きな一歩として、昨年10月に提言を取り纏められています。
この提言では、現在の河川整備メニューの見直しが必要であり、目標を上回る洪水に対しても減災効果の高い対策を講じることにより、地域の水害対策リスクをさらに低減させることが重要で、施設設計にあっては将来の外力の変化予測には不確実性が含まれていることを踏まえ、更なる外力の増加への対応として、外力の増加した場合の改築を容易に行うための工夫をあらかじめ行っておくことも必要であると記されております。
奈良県と大阪府の県境には「亀の瀬」の狭窄部があり、大和川水系河川整備計画の中で大きな制約を受けております。
しかしながら、奈良県の大和川最下流部に位置する王寺町・三郷町・斑鳩町などには大和川に接して人口集中地区(所謂DID地区)があり、特に王寺町の舟戸地域、久度地域、王寺地域には、日乗降客数約5万人のJR王寺駅、近鉄王寺駅、近鉄新王寺駅、ニチアス王寺工場があり、全人口の約30%に当たる約7千人が居住し、王寺駅ターミナル周辺には大規模な商業施設や官庁施設も集中しています。
(※参考図面-1を掲示)
平成28年5月に発表されました「大和川水系大和川浸水想定区域図」の家屋倒壊氾濫区域(氾濫流)、(河岸浸食)の図面が国土交通省大和川河川事務所のホームページで公表されていることは御存じのことと思いますが、王寺町舟戸地域・久度地域の一部も河岸浸食が発生する区域に該当しております。
掲示図面の左上です。
覚えておられる方は少ないかもしれませんが、王寺町舟戸地区から久度5丁目までの約2km(もっと長い区間であったかもしれません。)は10?ほどの間隔で桜が植えられていましたが、昭和57年水害時にこの桜の木数本が根とともに洪水の影響で川側に倒れました。 右側中ごろの写真が、王寺町広報に掲載されました昭和57年災害の数年前の舟戸1丁目地区の写真です。
その後、河岸浸食防止のため全ての桜が撤去され物議を醸したことを思い出します。
その堤防の一部区間は、今日においても河川管理施設等構造令で定められた定規断面を満たしていない部分がありますが、堤防の天端から河川計画高水位までの余裕高さが基準内であることから築堤改修の整備対象にはなっていないと聞いています。
左の表のとおり、王寺地点観測所付近の計画洪水流量は3200?/Sであり、河川管理施設等構造令第21条では、天端幅は5.0mと規定されていますが、
28.6km距離標地点での堤防天端幅は4.164mと約85cm不足しております。(この横断図は大和川河川事務所から提供していただきました。)
同構造令第21条のただし書きには、『堤内地盤高が計画高水位より高く、かつ、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあっては、計画高水流量が一秒間につき五百立方メートル以上である場合においても、三メートル以上とすることができる。』とありますが、同地点付近の堤防天端の高さ(TP+39.7)・とJR王寺駅周辺の堤内地盤高さ(TP+36.0)を比較しても、このただし書きには該当しないことを申し上げておきます。
先ほどの提言を予見するように、昨年10月には台風19号が日本列島に上陸し、長野県・関東地域・東北地域に甚大な被害が発生しましたことは記憶に新しく、私の2月の一般質問において、その被害の概要と今後の洪水に対する危険性を例示させていただいたところです。
(※参考図面-2を掲示)
国土交通省 近畿地方建設局 河川部が取りまとめています平成29年10月22-23日にかけての台風21号による洪水の概要の資料で、昭和橋地点水位観測所において過去最高水位を記録し、計画高水位から71㎝上回ったと記録されています。
また、最高水位を記録する2時間ほど前に私が現地確認を行った際に撮影しました写真の一部が下の2枚です。
雨量の記録は、22日午前零時から23日午前零時までの24時間で190mmですから、この後2-3時間、流域で雨が続いて降っていれば、さらに大きな災害が発生していたと思われます。
昭和57年災害後に一定の河川整備が完了していることや、昭和57年災害時降雨に耐え得るように100万トン級遊水地の整備、河道掘削、一部護岸整備に国土交通省で取り組んでいただいており、奈良県では、大和川総合治水対策事業により流域市町村への対策量の割り当てを実施され、同事業が一定の成果を上げてはいるものの、残念ながら100%の目標達成に至っていません。
このことから、県では、荒井知事が先頭に立ち「平成の緊急内水対策事業」として、昨年度から5年計画で関係する市町村とともに内水対策に着手していただいていますが、私は、今後の気候変動を考慮した大和川水系全体の河川整備計画の見直しも必要だと考えています。
例えば、大和川がDID地区に接する堤防は、計画高水位からの余裕高さ以上の高さを設定した奈良県版の高規格堤防計画や支流ではバックウォーターを考慮した堤防の一部改良を行うなどの外水対策が必要であると考えています。
先日、昨年の台風19号で41か所が氾濫しました福島県の阿武隈川流域の一部では、内水が堤防を越水して氾濫の原因を作った個所もあったと国土交通省が発表をしました。
内水の設計基準と河川計画の設計基準は異なりますが、今後は総合的に判断をしなければならないことを示した例ではないでしょうか。
これら、昨年10月の「令和元年東日本台風(台風19号)」による市街地の被害状況を踏まえ、大和川水系のDID地区(人口集中地区)における洪水対策として、先ほど例示しました箇所などの堤防の強化や河川整備計画の見直し等が必要であると私は考えています。
昨今の気象変動による影響を踏まえ、大和川水系のDID地区における洪水対策をどのように進めていかれるのか、知事のご所見を伺います。
(※図掲示を終わる)

【知事答弁】
1 大和川の洪水対策では「ながす対策」と「ためる対策」を組み合わせて実行してきています。

大和川では大きな被害があった経験から、大和川水系河川整備計画に基づき、「ながす対策」、「ためる対策」の2つの対策を実施しており、「ながす対策」として河道掘削や水位を下げるための工事を継続して行っています。
ただ、奈良県内の大和川については、亀の瀬という最大のネックがあります。亀の瀬があるため、「ながす対策」には限界があります。亀の瀬があるために、大阪府下には一挙に水が流れない、逆に言うと、亀の瀬を開くと大阪府下で大洪水が必至であり、亀の瀬は開くに開けないという関係があります。その対策として大阪府下の堤防の強化には100年かかるとも聞いており、亀の瀬を開くというのはなかなか問題だということは大阪府側でも多少理解をして頂ければと思っているところです。
従って、「ためる対策」が奈良県では主流になります。市と連携して、本流と内水の両方で対策に取り組んでおります。またさらに、昭和57年度の大和川の氾濫に備えるという30年に一度の対策ではなく、100年に一度の大雨に備えるようにグレードアップをすることにも取り組んでまいります。内水を深く掘る、広く掘る、外水も大きく用意するということをやってまいります。
もう一つは、議員が常にお述べの、特に王寺町のようなところでは「まもる対策」もあるのではないか、「まもる対策」も組み合わせるべきであると思っています。
 堤防の強化ということについては、堤防の強度が不足していると大変なことになりますので、越水して堤防の民地側の法すそを崩さないよう、コンクリートブロックで補強する工事をやり始めて頂いています。
安心できるように、また堤防を広げてスーパー堤防のようなものも含め、堤防の強化など、堤防をまもる対策を進めていきたいと思います。
 「ながす対策」には限界がありますので、「ためる対策」と「まもる対策」を中心にして、奈良県の大和川対策を進めていきたいと思っています。
とりわけ「ためる対策」の貯留施設の整備に必死に努力しております。場所はだいたい適地として決まっています。是非、水が溜まりやすいところには貯留施設にしようとお薦め頂きたいと思います。

最後に、本年2月に発表されました「奈良新『都』づくり戦略2020」に記載されています奈良県大規模広域防災拠点の早期整備について伺います。

奈良県大規模広域防災拠点整備効果の早期発現を目的に、造成方法や機能等を考慮し、第1期は広域防災拠点の整備、第2期は600m級滑走路付きの大規模防災拠点の整備、第3期は2000m級滑走路の併設を行うように、段階的な整備方法を検討することとされました。
昨年9月定例会の私の代表質問で、現実的な段階的施工が望ましいのではないかと提案をさせて頂き、令和4年までの計画の概要と段階的な整備方針を示されたのだと想像いたします。
本事業では、大量の盛土が必要であり、600?級滑走路の設置を検討された前調査においても、計画候補地内のプレディアゴルフ場内だけでも、約75万?の盛土材料が不足するとともに、用地補償費を除いて約250億円の費用が必要であると記載されていることを指摘いたしました。
通常の造成工事は、近隣への影響と事業工程などから、計画区域内で土の融通を行い、場外への搬出・場外からの搬入を極力少なく計画するのが通例であります。
大規模広域防災拠点事業の最終的な姿は、自衛隊幹部や和歌山県知事との話を総合的に判断して、自衛隊の大型固定翼機が離発着できる2000m級の滑走路を備える計画とされています。
2000m級の滑走路ともなれば、さらに莫大な量の盛土材料の搬入と固定翼機が安全に離発着するための諸施設の整備費用が必要であります。
荒井知事の構想では京奈和自動車道トンネル部分の排土利用、リニア中央新幹線の排土利用、河道掘削土の利用などを検討されているようですが、土の運搬だけでも計画地付近の環境への影響が非常に大きなものとなります。
災害はいつ来るか分かりません。
本年2月に発表されました「奈良新『都』づくり戦略2020」において、奈良県大規模広域防災拠点については、整備効果の早期発現を目的に、造成方法や機能等を考慮し、段階的な整備方法を検討することとされましたが、この事業は最終的には2000m級の滑走路を備える計画でありますが、私は、事業地周辺への環境対策を考慮した、より現実的な事業計画とすべきと考えております。
改めて知事のご所見を伺います。
【知事答弁】
大規模災害発生時に備える大規模広域防災拠点は、空からの救助要員の集結、救援物資の集積・配送機能の役割を果たし、また、紀伊半島全体や大阪湾が襲われる際には、後方支援としての機能も担う考えがあります。
後方支援として救難・救助・救出活動をする際は、大量の物資を全国から集め、効率的にヘリコプターなどで配送、救助するということが想定されますので、最の固定翼輸送機と多数のヘリコプターが離発着できる滑走路が必要です。山形空港の活躍が思い浮かぶわけですが、奈良県では2000m滑走路の建設可能な場所が五條市内で見つかりました。事業に困難な点はありますが、是非とも実現を望んでいます。
南海トラフ巨大地震発生の切迫性が指摘されるなか、早く事業着手すべきなのではないかという意見がありますが、2000m滑走路を一挙に整備するのはなかなか困難なので、3期に分けて整備するという方向に切り替えました。第1期・第2期で大型のヘリコプターが離発着可能な600mの滑走路ができます。(第2期までの整備では)ゴルフ場を買収して、その上を整地することにより、大型のヘリコプターが離発着可能になります。また、(第3期までの整備と比べて)土砂量もさほど必要ではありません。現在、地元のご理解を得るための説明会を早期に開催できるよう指示しています。
工事の進め方についてですが、整備の段階毎に排水や土砂運搬など、周辺環境への影響への配慮が必要と考えています。現在、調査を実施しておりますが、調整池や雨水排水対策等の施工も必要だと思っており、それらの課題を抽出して、概略的な検討を行っております。
その検討結果を踏まえ、今年度から実施予定の造成設計において、土砂の運搬経路を含めた造成工事の施工計画を検討することとしております。
併せて、大気質や騒音などの生活環境に与える必要な調査も実施することとしており、調査の結果を公表するなどして、地元住民の理解を得ながら確実に事業を進められるよう取り組んで参りたいと考えています。
【議員再質問】
この拠点整備の財源について、どのように考えているのか伺います。
【知事再答弁】
現在、事業の概略設計、どのような事業になるか、また、事業費を計算してもらっている途中ですが、財源をどのようにするかで、現在、国の方に要望しているのは防災・減債対策に取り組むために創設された緊急防災・減災対策事業債の活用でございます。緊防債と言われておりますが、全国知事会でも緊防債の延長と事業の対象を大きなロットでも適用していただきたいと要望しております。
緊防債が適用になりますと、事業費の100%に充当できる一方、その償還については70%が交付税措置であるということで、国から出る助成としては大変有利な起債でございます。趣旨としては適う訳でございますが、延長というのも一つ視野に入れて・延長はできるとは思いますが、各県が要望しております。各県とも大変人気のある地方債でございますので、枠取りについては競争もあると思います。このような大きな事業で手を挙げているのは奈良県だけでございます。
今後、緊防債の適用に精力を傾けて、全力で適用実現に努力していきたいと思います。
【議員ご要望】
緊防債の今の現行の要件では該当してないという訳だが、今後努力いただきたい。
現状は調査をやっていただいているが、例えば服を誂えるとすると型紙を作っているという状況だと思います。型紙ができて、それから仮縫いをして、それから本縫いに移るという順番だと思う。この型紙を作るときに方向性を間違ってしまうと・とんでもないものができあがってしまう。そうならないために、まずは財源をきっちり把握してもらうということが重要と思うので、今後ともこの点に注力していただくよう、よろしくお願いしたいと思います。
現在実施されている調査内容についても、財源についても触れていただいて、財源計画も明確になれば、併せて公表していただくようによろしくお願い申し上げます。

※ 知事の答弁で、王寺町のように人口が密集している地域を大和川などの洪水から守る対策を検討するとの回答を頂いたことは心強い限りです。

6月定例会代表質問(要旨)

2020年06月21日

令和2年6月21日(日) 令和2年6月24日(水)午後2時頃~代表質問を行います。(奈良テレビの中継があります。)
質問の要旨が決まりましたので掲載をいたします。

※ 新型コロナウィルルス感染症のためホームページでの情報発信まで自粛状態になっておりました。 _(._.)_

代 表 質 問 要 旨(一括)
6 月 24 日
18番 日本維新の会  清 水 議 員

1 緊急事態宣言発令時の休業要請のあり方について        (知  事)
 新型コロナウイルス感染症の全国的な拡大に伴い、緊急事態宣言が全国に発令されたが、休業要請に関しては、都道府県の対応策も都道府県ごとに決めた一律の協力金の給付に留まらざるを得ず、休業される店舗等にとっては不充分な水準であった。緊急事態宣言が発令された場合における休業要請のあり方と、休業に伴う損失に対する対応策について、今般の緊急事態宣言における対応状況を踏まえ、政府への提言など、どのように考えているのか。

2 新型コロナウイルス感染症を契機としたテレワークの推進について(総務部長)
 新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するために、県としてテレワークにどのように取り組んだのか。また、今後、働き方改革の観点からも、在宅勤務の推進や必要な機器の整備など、テレワークを一層推進する必要があると考えるがどうか。

3 マイナンバーカードの普及拡大について            (総務部長)
 マイナンバーカードは、特別定額給付金のような給付事務の迅速化・簡素化や自治体ポイントの普及等に大いに活用できると考えている。令和3年3月からはマイナンバーカードに健康保険証の機能が付与されるなど利便性も向上されることから、県として普及拡大にさらに力を入れて取り組むべきと考えるがどうか。

4 人口集中地区を対象とした洪水対策について          (知  事)
 令和元年10月に発生した「令和元年東日本台風(台風第19号)」による市街地の被害状況を踏まえ、大和川水系の人口集中地区における洪水対策として、堤防の強化や河川整備計画の見直し等が必要と考える。昨今の気候変動による影響を踏まえ、大和川水系の人口集中地区における洪水対策をどのように進めていくのか。

5 奈良県大規模広域防災拠点の早期整備について         (知  事)
 本年2月に発表された「奈良新『都』づくり戦略2020」において、奈良県大規模広域防災拠点については、整備効果の早期発現を目的に、造成方法や機能等を考慮し、段階的な整備方法を検討することとされた。この事業は最終的には2000m級の滑走路を備える計画であるが、事業地周辺への環境対策を考慮した、より現実的な事業計画とすべきと考えており、所見を伺いたい。